言いにくいことが言えない

 出会って3年。交際して2年。そろそろ彼女との結婚を考えていた。そんな矢先……

 

 彼女の裏切りが発覚した。相手は、会社の同僚とのこと。

 

 思わず彼女を問い詰める。どういうことだ。愛していたのに。一生大切にすると、心に誓っていたのに。すると、彼女はこう返す。

 

 だって、寂しかったの。あなた、最近仕事が忙しいとか言って、私にかまってくれなかったでしょう。だから……

 

 巷でよく聞く話。でも、こんな風に別れて、トラウマを抱えている男性は、思いの他大勢いるのだろうか。

 

 男女を問わず、浮気発覚後にパートナーの不満をもらす人は多い。しかし、こう考えたことはないだろうか。

 

 なぜ、浮気をする前にそれを言わないのだろうか?

 

 通常、人は低い倫理観があって、それをもとに浮気すると考えられている。でも、そうではなくて……

 

 言いにくいことを言えない人が世の中には大勢いて、そのために不貞行為に走ってしまう人もいるのではないか?

 

 ここで思い出してほしいのは、2つ目の記事に私が書いた、円満家庭出身者と、不和家庭出身者の特徴である。

 

不和家庭出身者:言いにくいことが言えない。その場の雰囲気を壊せない。

        我慢のできないことは後から言う、他人に言う。

 

円満家庭出身者:他者を傷つける意図のない不謹慎なこと(いらんこと)を、

        若いときとくに言う。

 

 当然、円満家庭出身者は言いにくいことを必要があっても言えない人がいるとは夢にも思わず、悪意で自分を裏切ったという結論を導きやすい。

 また、言いにくいことの言えない人は、そのことを大抵自覚しておらず、女性は美点と思っている人も少なくない。

 

 また、両者は以下のような特徴も持っている。

 

不和家庭出身者:目の前の相手の機嫌をとることがしみついている。

        時に事実よりも相手の喜ぶことを優先して話す。

 

円満家庭出身者:人の顔色をうかがうことがしみついていない。

        不快に思ったことはすぐ言う。

        他の人も、特に親しい人ほどすぐに言ってくれると思っている。

 

 恋人たちは常にすれ違い続けている。

 

 あんなに楽しく話していたのに、交際は断られた、というのはよく聞く話だし、それどころかむしろセクハラで訴えられたという人も少なくない。

 

 こんなに気を遣っているのに。言わなくても察して。

 すぐ言えばいいじゃないか。どうして言わないんだ?

 あのとき嫌がらなかったじゃないか。だって、あの場はそんなことを言える空気じゃなかった。

 

 結婚したい。いつプロポーズしてくれるんだろう。

 子どもができた後の話をしていた。でも結婚するつもりなど毛頭なかった。

 信じられない。既婚者だって知ってたら付き合わなかったのに。

 

 思えば、こんな話ばかりではないだろうか。