清楚ではない女を好きになっていませんか

 冴えない人生を歩いていた人間の頭に、ある日一つの考えが浮かんだ。

 

 世の中の若い男は清楚でない女を好きになっていないだろうか……?

 

 この場合の男性というのは、若くて人を見る目がなく、いじめられてきていなくて屈折していない、努力すれば夢が叶うと信じている、いわゆる「普通」の男性を想像してほしい。

 

 美人が男性に選ばれるというのが一般常識だ。しかし現実には容姿に恵まれた独身女性がいたり、平凡な容姿でも恋人の絶えない女性がいたりして、一体何を基準に選び、選ばれしているのか私にはわからなかった。私はもちろん選ばれない側だ。

 

 結婚をしたらしたで苦労があるのは大勢の人の話を聞いて学んでいたので、独身の人生も、甘んじて受け入れるつもりだった。けれど、自分にご縁がないのはどうしてなのか、理由をつきとめたいと思った。というより、つきとめなければいけない、そんな気がした。

 

 私は、結婚している人、していない人、恋愛の多い人、少ない人の共通点を探した。何かあるはずだ。何か。そして浮かんだのが、上記の考えだった。

 

 今までの、どんな話よりもしっくり来た。百戦錬磨のような女がうぶなエリートを捕まえ結婚する、という話は絶えることがない。また、独身女性と既婚男性の不倫もよく聞く話である。お互い、清楚ではない人を好きになっているのかもしれない。

 

 しっくり来た。しかし私は次の瞬間、自分はとんでもないことを発見したのではないかと気が付いた。

 

 清楚な男と清楚ではない女。これを男が許すはずがない。

 

 1970年代頃からだろうか。女のあいだでは処女を守るのはダサいということが常識となっていた。しかし男が彼女の浮気に寛大ということは決してなく、それどころか他人の女の浮気話に顔を引きつらせていたりする。男の清楚好きは顕在だと感じていた。

 

 女の浮気って、そんなによくあることなのか……気持ち悪い……そして私は、不思議に思っていた疑問を思い出した。

 

 世の中で、「モテる」と言われている男性が、誰一人として「最も愛する女性と結婚すべき」と発言していない。

 

 私はモテると言われる男性の発言や行動を、できる限り思い出していた。

 

 松本人志氏…子どもができた子どもができた相手と、運命と思って結婚する。

 島田紳助氏…「やっぱり美人はあかん」「結婚するならポメラニアンでなく雑種を選べ」と発言。

 明石家さんま氏…他の男性に向かって、おまえら、浅野ゆう子がええとか言うけど,女には好きになってもらうのがええんやぞと発言。

 萩原健一氏…自分を好きになってくれた女性と結婚していたが、最後は自分の好きな女性と結婚。

 街頭インタビューに答える老年男性…好きな人とは一緒にならないほうがいいと発言。

 私の身近にいる50代男性…20代後半が最大のモテ期だったと振り返りつつも、5年自分を待ってくれていた女性と結婚したと発言。

 

 自分の人間関係が狭いため、芸能人の方がほとんどとなってしまった。しかし芸能人とて同じ人間。神様ではないのだ。